少し遅くなってしまいましたが、
2018年末のRIZIN.14で行われた試合、
『那須川天心 vs メイウェザー』について書かせていただきます!
日本の格闘技史に残る大イベントの考察と、
試合後の那須川天心への挑発とも取れるコンタクトを取ってきたマクレガーについても紹介していきます!
ページコンテンツ
那須川天心 vs メイウェザー 試合について【RIZIN】
引用:https://www.instagram.com/tenshin.nasukawa/:
ボクシングに関わるものであれば、
知らぬ者のいない『フロイド・メイウェザー・ジュニア』
間違いなく、ボクシング界ピラミッドの頂点にいた男です。
キャリア50戦50勝で無敗の5階級制覇
日本人など全く手の届かない所にいた存在。
その選手が日本人と戦うとは、しかもボクサーではない選手と。
本来実現はあり得ない試合
「日本に来ただけで一大事」
私が知る限り、彼が来日したのは
2013年キックボクシングイベントの「GLORY」観戦のために来日したこと。
次は、「ULTRA JAPAN」への参加と、
TMT TOKYOの立ち上げ記者会見参加のための来日です。
これは2018年のことでした。
カジノなどのビジネス関連でのみ日本に関わってくるのかと思いきや、
まさかリングの上に立つとは、しかもファイターとして。
その相手は、『那須川天心』
間違いなく、日本史上最強のキックボクサーです。
メイウェザーは那須川天心を舐めていた?
試合前記者会見では時間に遅れ、
試合当日にはいきなり富士山に行きたいといい、
焼肉に舌鼓を打つ。
肩の筋肉をほぐすのみでウォームアップはせず、
全く汗をかかないままリングに上がる。
2018年12月31日、那須川天心とメイウェザーはリングで対峙します。
結果、那須川天心のキャリア初となる1ラウンドKO負け。
メイウェザーが那須川天心をなめていたのではなく、
日本全体がメイウェザーをなめていた。
これを分からせてくれたメイウェザーのパフォーマンスでした。
リング外でこそ、メイウェザーは所謂舐めた態度を取っていましたが、
リング上でメイウェザーは自身が有利になるような戦い方をしています。
この対戦で、メイウェザーに圧倒的分があったのは、技術よりも体重差。
メイウェザーはそれを活かして、ガードを上げプレスを繰り返していました。
体重差を活かすことは、技術で差をつけるよりも簡単です。
それを利用することは、プロボクサーとして当然の事。
試合前、メイウェザーの父であるシニアは、
メイウェザージムで行われた那須川天心のワークアウトを見て、
こう言いました
「あれなら、すぐに息子にやられる」
さすが長年ボクシングを見てきた名トレーナー
まさにその通りの結果となりましたね。
- マニー・パッキャオ
- マルコス・マイダナ
- サウル・アルバレス
メイウェザーと同じ階級の超スーパースターですら、
ダメージを与えられないのがメイウェザーです。
パワー系ならまだしも、
メイウェザーはディフェンスに重点を置いたテクニック系。
十分チャンスもあると言われた試合前ですが、
何も出来ない那須川天心でした。
期待していたのは日本人のみでしたね。
この試合を見て、他の日本人ボクサーはどう感じたか?
ボクシングの威厳を示してくれたメイウェザーを見て安堵するとともに、
メイウェザーと初めて対峙した日本人がキックボクサーという事に、焦りを感じるべきだと思います。
那須川天心とメイウェザーの差 体重・技術・年齢など
引用:https://www.instagram.com/tenshin.nasukawa/
具体的に、メイウェザーと那須川天心の間にはどのような差があったのか?
項目別にみていきたいと思います。
格闘技ではあり得ない階級差、埋められない体重の違い
やはり体重の壁は何ともしがたい。
那須川天心対メイウェザーの試合の最大のポイントです。
前日の計量で、
メイウェザー 66.7kg
那須川天心 62.1kg
ウェルター級とライト級くらいの差ですね。
メイウェザーは通常体重、
那須川天心は増量しての体重でしょう。
つまり計4.6kgの差ですが、それ以上の意味合いがあります。
しかもメイウェザーは当日ある程度戻すわけですから、
その体重差は更に開きます。
上述の通り、メイウェザーはこの体重の利を活かし、
那須川天心にどんどんプレスをかけていきました。
しかも、その相手にアンダー・ジ・イヤー
(耳の下・裏にある急所で打たれると平衡感覚を失う)ですから、
かなり冷酷な試合運びです。
50戦で積み重ねたボクシングテクニック
引用:https://www.instagram.com/floydmayweather/
那須川天心のボクシングテクニックを見たトレーナーは、
口をそろえて世界王者になれると言います。
しかし、それだけでメイウェザーに勝てるわけはないのです。
同級で、且つ何階級も制覇してきた選手でさえ、
メイウェザーには勝てていないという事実が、全てを物語っています。
仮に、那須川がメイウェザーと同じ体重であっても、
結果は同じだったはず。
メイウェザーが戦い方を変えればいいだけです。
これまでのキャリア50戦の中で、
蓄積されたメイウェザーのボクシングテクニックは、
キックボクサー28戦の技術の前に立ちはだかりました。
キックボクシングとボクシングで最大の違いは、重心の位置にあります。
以前、AbemaTVで、
亀田興毅と武尊のボクシングスパーを見たことがあります。
亀田興毅は引退して数年、
武尊は現役バリバリのK-1ファイターです。
2人の差は、那須川天心対メイウェザーのそれよりも小さいはずです。
しかしそのスパーで有利だったのは、亀田興毅でした。
何といっても武尊はバランスが悪く見えます。
亀田は前かがみでパンチに体重が乗っているように見えますが、
武尊はそれに比べると身体が立っており、
棒立ちの状態でパンチを打っているように見えます。
もちろん、武尊のボクシングテクもかなりもの。
決して低いと言っているのではありません。
あくまでも、ボクサーとキックボクサーの違いです。
おそらく、那須川天心はメイウェザー戦を前にこの点を修正したと思います。
インタビューでも語っています。
しかし、その不慣れからくる気持ち悪さは、パフォーマンスに影響します。
いきなりのボクシングルール、
しかも相手は自分より上の体重、更にメイウェザーであること。
那須川天心に勝てる要素など、どこにあるか分かりません。
蹴るという選択肢は、メイウェザーによって奪われたのですから。
試合前から勝負を始めるメイウェザー
引用:youtube.com
メイウェザーは試合前
「これはエンターテイメント」だと頻繁に口にしていました。
確かに、全てメイウェザー主導で進んでいき、
これぞメイウェザーという傍若無人振りを存分にファンは楽しめたと思います。
主催者側としてはいい迷惑だったでしょうが。
- 試合をするかしないかの決定
- ルールの決定
全てメイウェザー主導。
しかも当日はギリギリまで会場に来ない始末。
なんと当日朝、富士山まで行きたいと言っていたそうです。
これはさすがに関係者が止めたとのことですが、
叙々苑で焼き肉を楽しみました。
そして、会場に到着すると、
那須川天心のバンテージを巻きなおせと指示を出す。
揺さぶりなのか否か不明ですが、
自分が負ける数%の可能性も残さない姿勢はまさに勝負師。
「佐々木小次郎作戦」と解説者が言っていましたが、
本当にそうなのかもしれません。
そして、メイウェザーと言えばファイトマネー
もちろんメイウェザーの意向が大反映されました。
詳しく見ていきましょう
メイウェザーはファイトマネーでいくら貰った?
引用:https://www.instagram.com/floydmayweather/
メイウェザーは試合当日の12月31日、
「もし9分間で900万ドル(約10億円)を稼げると言ったら、どうする」
というコメントを、インスタに残しています。
この9分間というのは、間違いなく那須川天心との9分間の試合です。
このコメントから、メイウェザーのファイトマネーは約10億円だと推測出来ます。
対パッキャオ、対マクレガー戦の金額を知ると少額に感じますが、
3分3ラウンドで勝敗つかずのエンタメですので、
メイウェザーもここで落ち着いたのでしょう。
もしかしたら、もっともらっているかもしれませんが。
メイウェザーの過去のファイトマネーについてまとめた記事があります。
こちらも是非読んでみてください!
メイウェザーは試合後、
大量の札束を車内にばらまいたような写真をインスタにアップしています。
メイウェザーと福沢諭吉のコンビは中々新鮮ですね。
RIZINの榊原実行委員長は、具体的なファイトマネーは明かさなかったものの、
今までの最高額であることは明言しました。
そのお金の主な出所は以下の3つ。
- プライドをUFCに売却した時の残金
- 放映権料 (フジテレビ等)
- Cygames (サイゲームス)
と言っても、おそらくこれでも足りないでしょう。
興行的には赤字だったと思います。
しかし、「メイウェザーが参加した」というブランドは、
長期的に見て大きいものです。
メイウェザーが出た大会に出たい!
というファイターは海外からも多くいるでしょう。
メイウェザーが戦った那須川と戦いたい、という選手も。
それが大物であれば、
RIZINは金額を回収できる道をつくることが可能です。
現に、那須川天心とやらせろと言ってきた大物がすでに一人います。
『ザ・ノトーリアス コナー・マクレガー』
マクレガー vs 那須川天心 試合実現の可能性は?
引用:https://www.instagram.com/thenotoriousmma/
メイウェザー対那須川天心が可能なのだから、
この試合の実現可能性はありそうなものです。
メイウェザー対那須川天心が決まったとき、
マクレガーは那須川天心とメイウェザーが並んだ写真を見て、
ジャッキー・チェンとクリス・タッカー(ラッシュアワー)だと皮肉り、
メイウェザーは本当に小さな奴だと皮肉たっぷりのツイートしました。
メイウェザーにTKO負けを喫し、
UFC再起戦でもヌルマゴメドフに敗れたマクレガーでしたが、
滑らかな口撃はいまだ健在です。
東京に小金稼ぎに行くメイウェザーを揶揄したかったのでしょう。
そしてこのツイートがかなり大反響。
このツイートにより、メイウェザー対那須川戦を知ったファンも多いと聞きます。
さながら、メイウェザー対那須川の最高の宣伝部長と言えるでしょう。
「私は総合格闘技のエキシビジョンマッチでテンシン・ナスカワと対戦するために東京に行きたい。夏の前に、だ。準備してほしい。すぐに、だ。チャンピオン中のチャンピオンより」
まさにメイウェザーがやったことを、そのままやろうとしています。
これに対する那須川の回答が海外の称賛を受けました
「親愛なるミスター・マクレガー。僕の名前を覚えていてくれてありがとう。あなたが僕と戦うことを考えてくれることは名誉です。58キロで、キックボクシングルールなら近い将来どこかのリングで会えるかもしれません」
賢明な回答だと思います。
引用:https://www.instagram.com/tenshin.nasukawa/
メイウェザー戦で体重というものが、
勝敗に対し非常に大きな要素になることを痛感したのでしょう。
58kg、且つキックルールならやると言っています。
このやり取り以降、那須川対マクレガーの話に展開はありません。
ただ、マクレガーはUFC契約選手なので、
PRIDEの流れを組むRIZINでの試合は、
メイウェザーに比べたら招聘しやすいと思います。
ファイトマネーも10億円以内には抑えられます。
公式戦となれば話は別ですが、
メイウェザーという前例がありますからね。
障壁としては、那須川天心陣営がOKか否かです。
那須川天心対メイウェザーの試合は、
もちろん那須川天心からの要望ではなく、
メイウェザーのオファーを受けたRIZINからの要望でした。
相手がメイウェザーという事で受けた那須川。
では、マクレガーでは?
那須川のキャリアにプラスに働くとは、中々考えにくい。
技術的には那須川の方が上だと思います。
アメリカメディアでは、仮にマクレガーに那須川級の技術があれば、
メイウェザーにより肉薄できたと言う意見もあります。
つまり、マクレガーの技術は那須川天心以下という見方が多いです。
そう考えると、
那須川天心がマクレガーと戦うファイターとしてのメリットはあまりないんですよね。
強いて言うならお金くらいか。
でも、ファンとしてはマクレガーのトラッシュ・トークを是非日本で見たい。
放送禁止用語のオンパレードで、通訳も大変でしょう。
実現の可能性としては低いと思いますが障壁は少ないです。
那須川天心陣営のアクションがあれば、マクレガーはすぐそれに飛び乗るかもしれません。
那須川天心 vs メイウェザー 試合後考察まとめ
結果的には残念でしたが、
日本国内のみならず世界中で大きな話題を巻起こすことに成功したRIZIN。
ファンとしては試合前から試合後までずっと楽しませてもらいました。
マクレガーとの試合は実現しなそうですが、
RIZINはこれからも面白いイベントを計画していってほしいですね。
そのためには日本でもっともっと格闘技人気が出ないといけません。
格闘技団体ONEの日本進出もありますし、
今後の進展が楽しみです!